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コンプラ無用の『たかじんnoばぁ〜』

20数年前、今のご時世では考えられないような、やしきたかじんをはじめとする出演者が酒飲んで酔っ払ってタバコ吸ってグチャグチャになる魑魅魍魎のトーク番組『たかじんnoばぁ〜』にハマった。

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『We Margiela マルジェラと私たち』〜顔を出さないデザイナーと「We」の発明、その末路〜

『We Margiela マルジェラと私たち』は、高級ファッションブランド「メゾン マルタン マルジェラ」を作り上げた人々の声を集めた、2018年のドキュメンタリー映画。とはいえ、その“声”のなかに、長くデザインを手がけたこのブランドの中心的人物、マルタン・マルジェラは含まれていない。顔を出さず、語らないデザイナーとメゾンのスタッフは、そんな状況でひとつの語り口を発明する。

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「成功」のバスケットボール、「失敗」のサッカー〜Bリーグ初観戦の雑感〜

サッカーファンを自認し、JリーグFC東京の試合に足繁く通ってきたこの10年のなかで、2016年9月にスタートしたバスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」には興味を持っていたが、この度ようやく初観戦の機会が巡ってきた。時は2020年1月25日、場所は東京・立川市にある「アリーナ立川立飛」、対戦カードはアルバルク東京と富山グラウジーズだった。

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人生は甘くはない。けど、捨てたものでもない。〜トルーマン・カポーティ『あるクリスマス』〜

『ティファニーで朝食を』『冷血』といった名作を生み出したトルーマン・カポーティの最晩年の作品に、『あるクリスマス』という短編がある。 クリスマスにちなんだ彼のもう一編『クリスマスの思い出』が、イノセントで心温まるストーリーなのに対し、『あるクリスマス』は、主要な人物を同じとしなが...

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平和運動とは「肯定する力を信じる」ということ〜ベッド・イン50周年〜

「ベッド・イン」という、何とも破廉恥なイマジネーションをかきたてる名のイベントがその昔あった。新婚の男女によるものときたのだからいよいよ想像はあっちの方にいってしまうが、さにあらず。イベントの狙いは、ベトナム戦争が激化していた時代にあって非暴力で平和を訴えること。その男女とは、世...

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科学とは、信仰とは何か〜新国立劇場『骨と十字架』観劇〜

新国立劇場で『骨と十字架』を観劇したのは2019年7月のこと。劇団「パラドックス定数」の野木萌葱による史実と虚構を織り交ぜたストーリーを、新国立劇場芸術監督である小川絵梨子が演出した、同劇場2018/2019シーズンの掉尾を飾る舞台劇だった。 聖職者にして古生物学者、実在した司祭...

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「しっくり」の先にある「世界」という不自由さ〜阿佐ヶ谷スパイダース『桜姫~燃焦旋律隊殺於焼跡~』〜

阿佐ヶ谷スパイダースの最新作『桜姫~燃焦旋律隊殺於焼跡~』観劇のため吉祥寺シアターへ。瀟洒な劇場に足を踏み入れると、長塚圭史、伊達暁といったおなじみの役者陣が揃って出迎えてくれて驚くやら嬉しいやら。四代目鶴屋南北が文化十四年(1817年)に著した『桜姫東文章』を換骨奪胎した本作、その出来は……。

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稀代の詩人、谷川俊太郎

  自由でありながら、常に足が地についていて、血が通っている ユーモアとは、ある事象から一歩引いた場所から立ち現れるもの。 熱源に近すぎず、しかしその熱さを解するだけの共通感覚もある。 「あなたにはこう見えているかもしれないけど、実はこんなことじゃないですか」という、異...

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ある夏の北欧探訪〜ノルウェーの森、ではなく、水〜

  ノルウェーといえば? だいぶ旧聞に属する話なのだけど、ある年の夏、ノルウェーを旅してまわった。スカンジナビア半島の北欧3国のいちばん西側で北大西洋に面しており、国土の広さは日本とほぼ同じながら、人口は526万程度と日本の4割強の王国である。 北欧といえば、ムーミンは...

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「何かを理解したかのような気分」という病 ~ 蓮實重彦『齟齬の誘惑』を再読して ~

この本を最初に読んだのは発売後間もない2000年頃だったか。「東大生が理解できなかった、東大入学式での東大総長の式辞」という当時の評判に“非東大生”が触発されたわけである。
当時20代半ばの自分がどれほどまで内容を理解していたかはあやしいところだが、少なくとも40歳になった今になってふと読み返したくなったのだから、何かしらの“意識の欠片”が残っていたのだろう。