タグ: 芸術

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賛否両論のドラマ『いちばんすきな花』の何が今日的なのか

2023年秋に注目を集めたフジテレビのドラマ『いちばんすきな花』。「男女の間に、友情は成立しますか?」という、いささか凡庸なコピーが踊る本作は、実に繊細で、極めて今日的なストーリーだった。共感するひとと、全く理解できないひと、両極端な意見が散見されたのだが、それだけ好き嫌いが分かれた理由は、どこにあったのだろうか。

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「巨大な目玉」は何を見たか?〜阿佐ヶ谷スパイダース『ジャイアンツ』観劇〜

阿佐ヶ谷スパイダースにとって2年ぶりの本公演『ジャイアンツ』を新宿シアタートップスで観劇。前回は吉祥寺で観た『桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡』だったから、個人的にはコロナ禍を経て4年ぶりに芝居を楽しんだことになる。

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映画『窓辺にて』からにじみ出る“不思議さ”とは何か

稲垣吾郎が主演をつとめた今泉力哉監督作品『窓辺にて』は、とても不思議な映画だ。登場人物への強い感情移入や強烈なインパクトは全然もたらさないのだけど、なんかホッとしたり、救われたり、ちょっと寂しかったり、悲しかったり、でも穏やかになれたりする。おおむねポジティブなメッセージを受けているようなのだけど、背中を押された感じもしない。でも悪い気はしないし、前向きでいられるような気持ちにさせてくれる。

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いまのご時世、自動車やバイクに性的な意味を負わせることはできるのか?〜『あの胸にもういちど』で思ったこと〜

フェティッシュな『あの胸にもういちど』を見て思った素朴な疑問。映画でも政治的な正しさに照らし合わせた配役がなされるようになった現在、自動車やバイクといったものに、性的な意味を負わせるということは、果たして通用するものなのだろうかと。

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『Mad Men』で考える、幸せとは何か。

2020年に観たベストの作品は何か? 餓鬼が喜ぶ鬼退治の話、なわけもなく、歌舞伎まがいの銀行ドラマにも食指は動かなかった。コロナ禍で個人の密かな楽しみとしていたのが『Mad Men』。2007年から2015年までアメリカで放映されたテレビドラマだった。

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『We Margiela マルジェラと私たち』〜顔を出さないデザイナーと「We」の発明、その末路〜

『We Margiela マルジェラと私たち』は、高級ファッションブランド「メゾン マルタン マルジェラ」を作り上げた人々の声を集めた、2018年のドキュメンタリー映画。とはいえ、その“声”のなかに、長くデザインを手がけたこのブランドの中心的人物、マルタン・マルジェラは含まれていない。顔を出さず、語らないデザイナーとメゾンのスタッフは、そんな状況でひとつの語り口を発明する。

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平和運動とは「肯定する力を信じる」ということ〜ベッド・イン50周年〜

「ベッド・イン」という、何とも破廉恥なイマジネーションをかきたてる名のイベントがその昔あった。新婚の男女によるものときたのだからいよいよ想像はあっちの方にいってしまうが、さにあらず。イベントの狙いは、ベトナム戦争が激化していた時代にあって非暴力で平和を訴えること。その男女とは、世...

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科学とは、信仰とは何か〜新国立劇場『骨と十字架』観劇〜

新国立劇場で『骨と十字架』を観劇したのは2019年7月のこと。劇団「パラドックス定数」の野木萌葱による史実と虚構を織り交ぜたストーリーを、新国立劇場芸術監督である小川絵梨子が演出した、同劇場2018/2019シーズンの掉尾を飾る舞台劇だった。 聖職者にして古生物学者、実在した司祭...

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「しっくり」の先にある「世界」という不自由さ〜阿佐ヶ谷スパイダース『桜姫~燃焦旋律隊殺於焼跡~』〜

阿佐ヶ谷スパイダースの最新作『桜姫~燃焦旋律隊殺於焼跡~』観劇のため吉祥寺シアターへ。瀟洒な劇場に足を踏み入れると、長塚圭史、伊達暁といったおなじみの役者陣が揃って出迎えてくれて驚くやら嬉しいやら。四代目鶴屋南北が文化十四年(1817年)に著した『桜姫東文章』を換骨奪胎した本作、その出来は……。

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稀代の詩人、谷川俊太郎

  自由でありながら、常に足が地についていて、血が通っている ユーモアとは、ある事象から一歩引いた場所から立ち現れるもの。 熱源に近すぎず、しかしその熱さを解するだけの共通感覚もある。 「あなたにはこう見えているかもしれないけど、実はこんなことじゃないですか」という、異...