リモートワーカーの強い味方、「Emberマグ2」でQOLは向上する

Emberマグ2
「Emberマグ2」の10oz(295ml)。大容量の14oz(414ml)もある。(撮影=bg)

常にあたたかいコーヒーが飲めるマグカップ「Emberマグ2」

東京をはじめとする7都府県に「緊急事態宣言」が発出されたのは2020年4月7日のこと。外出制限や飲食店の時短など、多くの社会的機能が大幅に制限されたコロナ禍は、3年を経て感染が落ち着きつつあるいまになって、やや複雑な旧懐の念を持ちながら語ることができるようになった。

この間の様々な日常の激変にあって、働く環境においてもリモートワークが定着したことは、コロナ以前には想像もできなかったこと。職種や企業のポリシーにもよるが、個人的には在宅勤務がメインのまま、月に1、2回のオフィス勤務が続いている。

在宅ワークの利点は、自分のペースやスタイルで仕事ができるということ。そうなれば、より自分にあった快適な環境を整え、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上を目指したくなるもの。しかしこのQOLという言葉、実は消費とも仲が良いから困ったものである。

座り心地のいいチェアに、自分用にしつらえたデスク。好きな音楽を聴きながら、日がな一日を仕事に費やしていると、むくむくと欲がわいてきて……そんな物欲の向かった先が、常にあたたかいコーヒーが飲めるマグカップである「Emberマグ2」。2021年秋の購入から、いまではすっかり、なくてはならないアイテムとなった。

きっかけは「冷めたスクランブルエッグ」

薪などの“燃えさし”や“残り火”を意味する社名が象徴するように、カリフォルニアに本拠を置くEmberが得意とするのは「温度管理技術」。公式サイトには、Ember誕生のきっかけが記されている。

Emberの創立者でありCEOのクレイ・アレキサンダーは、2009年のある日、食べていたスクランブルエッグが冷めてしまった経験から、電気を使った“料理が冷めない皿”を試作した。いつまでもあたたかく、美味しく食べられるということに喜びと感触を得た彼は、皿からマグカップにアイディアを移植し、のちの「Emberマグ」商品化へとつなげたという。

起業家として、また発明家として、なにげない生活の一場面の些細な違和感をも見逃さなかった彼の洞察力もさることながら、それを商品にしてビジネス化してしまう実行力はさすがである。

「マグカップ自体に熱源がある」というユニークさ

電気を使った飲み物の保温では、容器とは別体の熱源であたためる方法を取るのが一般的だが、Emberのユニークさは、マグカップ自体に熱源と温度をコントロールする機能を与え、専用のコースターを充電器としている点にある。

公式サイトにある「Emberマグ2」のカットモデルによれば、セラミックコーティングされたステンレス製の本体の下に、「温度・液体検知のための4つのセンサー」と「リチウムイオン電池」、そして「デュアルバンドのマイクロプロセッサーによる温度管理システム」が押し込まれている。

公式サイトにある「Emberマグ2」のカットモデル(https://ember.com/pages/technology

マグカップのサイズは、直径83.2×高さ106.7mm、取手を含めると幅は109.2mmで、容量は10oz(295ml)。この程度のカップであればもう少し容量があってもいいところだが、「Emberマグ2」では内蔵機器の分だけ2cm程度厚底になっている。おまけに空の状態でも重さは410g。1万円をゆうに超える価格と相まって、ずしりとくる感じは否めない。

容量と重さ、そして電子レンジで使えないといった若干の犠牲があることはいたしかたないのだろうが、それとに引き換えに、冷めたコーヒーを口にした時の興醒め感がないというのは、思いのほかいい経験なのである。

摂氏50度から62.5度まで、専用アプリによる温度管理

温度の管理は、スマートフォンやタブレットに入れる専用アプリで行う。Bluetoothでマグカップと接続することで、摂氏50度から62.5度まで、飲み物を好みの温度に保つことができる。

マグカップ底の電源ボタンをオンにし、アプリを起動して液体を注ぐと、スマートフォンや「Apple Watch」から「いま何飲んでるの?」と聞かれるので、「コーヒー 57度」「紅茶 58.5度」といったプリセットされた温度から選べばいい。

どこまで厳密な温度管理を求めているかは使うひとによるだろう。性格的に大雑把であることを自認している身からすれば、コーヒーもお茶もだいたい57度で飲むことにしており、これで特段の不満はない。

なお公式サイトによれば、充電コースターから離してマグカップ単体で保温できる時間は、54.4度に保った状態でおよそ1時間強。コースターに置けば充電されることから、家での使用なら大きな問題にはならない。

「Emberマグ2」の“2つの弱点”

毎日のように使ってみて、「Emberマグ2」には“2つの弱点”があることに気がついた。

ひとつめは、些細なことではあるが、液体のあたたかさを維持すれば、時間の経過とともに水分は蒸発していくということ。つまりコーヒーにしろ紅茶にしろ“煮詰まる”わけで、こうなれば当たり前だが味は悪くなる。

この点に関しては、フタ付きの「Emberトラベルマグ2」の方が無駄のないデザインのように思えるものの、普段使いでフタは邪魔でもある。煮詰まるのが嫌なら、市販のシリコン製のカバーと併用すればいい。

もうひとつの弱点は、よりシリアスで構造的な問題だ。「Emberマグ2」を使いはじめておよそ8ヵ月たった頃、充電がうまくできなくなる症状が出てきたのだ。

ネットで調べてみたところ、どうも充電器たるコースターに不具合が起きやすいということことらしく、あらためて自分のコースターを見てみると、なるほど、たしかに買った時とは様子が異なっていた。

「Emberマグ2」の充電は、コースター側に小さな金属の突起が2つあり、マグカップ底面の2つの金属の輪と接触することでチャージされる。このコースター側の突起のひとつが奥に引っ込んでしまい、しっかりと充電できなくなっていたのだ。

「Emberマグ2」の弱点ともいえる箇所は充電コースターにあった。このように2つの小さな突起状のピンが、マグカップ底にあるリング状の金属と接触することで充電される仕組みだが、このピンが凹んだままになってチャージできなくなった。幸いサポートセンターに連絡後、無償で交換することができた。(撮影=bg)

実際、公式サイト上のサポートセンターの症状欄には「充電コースターのピンが凹んでいる」という選択肢もあり、これがよくある不良であることがうかがえた。幸いにしてサポートセンターへのメール連絡により、コースターは無償交換されて再び使えるようになったものの、ワイヤレス充電が普及していることを考えると、現状の作りは決して最良というものでもなさそうである。

「未病」の代表、冷え対策にも

常にあたたかいコーヒーやお茶を飲めるというのは、美味しさの面のみならず、健康にも良いという期待が持てる。ことさらリモートワーカーは、従来の通勤がないため、歩いたり階段をのぼったりすることが減り、一方で座りっぱなしの時間が長くなる。意識的に身体を動かしたり、健康に配慮しないといけない。

身体の冷えが不調や病気を招くというのはよく聞く話だ。『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』(川嶋朗/河出書房新社)では、身体が冷えることで「いいことは何ひとつない」と言い切りながら、以下のような弊害を挙げている。

  • 冷えにより血液の余分な脂肪分が固まり、血液はドロドロになる。さらに血管が収縮して血流が滞る。
  • 酵素の働きが鈍くなることで、新陳代謝が低下。さらに免疫力も落ち、老化の原因となる活性酸素の中和も進まない。また必要なホルモンも作られなくなり、傷ついた遺伝子の修復にも影響がある。
  • 冷えは、病気と健康の間にある「未病(みびょう)」の代表的症状である。

当然のことながら、常にあたたかい飲料を飲むことができる「Emberマグ2」なら、身体を内側からあたためることができる。本書には、冷えとりには「お茶は発酵度合いが高いものほどあたためる作用も高くなる」とあり、その点では緑茶よりも紅茶、紅茶よりも、プーアル茶などの黒茶が良いとされている(ちなみにコーヒーは飲みすぎると身体を冷やすとされており、量には注意とのこと)。

残り火のようなほのかな温かみがもたらすQOLの向上 ── 「Emberマグ2」は、ことほど左様にリモートワーカーの強い味方なのである。■bg

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1974年生まれ。都下在住。生きるということは「世界の解釈」、そのひとをそのひとたらしめるのは、その「世界の切り取り方」にあると思います。

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